【婚活成功物語:第4話】「見た目を改造して婚活パーティーへ参加!」

 

ひかりちゃん・さくらちゃんのコンビと出会った街コンから一年。

(第3話はコチラ【婚活成功物語:第3話】「街コンへ繰り出せ!」

僕は相変わらず、独り身のままだった。

黒田はさくらちゃんと上手くいっていて、そろそろ結婚という話も出ているらしい。

もちろん、僕も一年の間、何もしていなかったわけじゃなかった。

婚活のための、「見た目改造計画」を進めていたのである。

 

 

自分を磨かざる者、婚活に成功できず

街コンでの黒田の姿を見て、僕は気がついた。

年収とか持って生まれた容姿とか、そういうものに恵まれていなくても、見た目を小ぎれいにしたり女の子を楽しませるようなトーク力を身につけたりすることで、恋活・婚活の成功率は上がっていくのだ。

思えば、まゆみ(最初の彼女)と付き合っている二年の間に、僕は努力をするということを忘れていた。

 

髪型や服装には気を使わなくなって、安上がりなものばかりを選んでいた。会社が忙しいことを言い訳に、夜中、遅い時間にがっつり飯を食べたりして、30歳を過ぎてからは急激に腹が出た。もともと十人並みの容姿である僕がさらに努力を怠ったわけだから、年齢よりもずっとオジサンに見られるようになってしまっていた。

 

僕は心のどこかで、見た目で選ばれたくない、中身を見てほしい、なんて甘いことを考えていた。でも、僕自身、正直な話をするとマッチングアプリで出会ったみずほちゃんの容姿にガッカリしたり、ひかりちゃん・さくらちゃんの容姿にテンションが上がったりしたのだ。

ひとそれぞれ好みというものもあるだろうけど、婚活という場での出会いは、ファーストインプレッション、つまり第一印象がモノを言うのだ。

 

第一印象で相手に好感を持たれなければ、そこから先のステップに進んでいくことすらできない。中身を知るのはその後のことで、少なくとも交際が始まる前に人間性までつぶさに知ることはできないのだ。

 

僕は1年の間、少しずつではあるが自分を磨いていった。

 

 

 

 

 

まずはジムに通い、食事を気をつけるようにした。最初は筋肉痛と怠け心にくじけそうになったものの、3ヶ月ほどすると徐々に体が変わりだした。ベルトの上に乗っかっていた腹の肉が引っ込んで、うっすらと腹筋の割れ目が見えるようになると、嬉しくなった。顔のラインもずいぶんシャープになった気がする。

 

顔と体が変わると、今までぱつぱつで似合わなかった服が着られるようになる。雑誌を見たり、お店を回ったりして、自分なりに服装にも気を遣うようになった。1,000円カットで適当に整えるだけだった髪も、評判のいい美容室に行って流行のヘアスタイルにしてもらった。

 

もちろん、それで僕が劇的にイケメンになるということはなかった。生まれ持ってのイケメンには到底及ばないし、十人並みであることには変わらない。でも、努力をしている、そして結果が出る、ということが僕の自信になっていった。自信がつくと、仕事にも影響する。職場でも評価されることが増えて、上司から珍しく褒められることもあった。

容姿や仕事で身についた小さな自信は、婚活にも影響しだした。交際まで行くことはできなかったけれど、初対面の女性と緊張せずに話ができるようになってきたのだ。今までは、相手の顔色をうかがいながら、自信を喪失すると口ごもってしまっていたのに、ちゃんと間を持たせられるようになってきた。

 

婚活を始めてもう2年近く。短い時間ではないけれど、それでも無為に過ごしたわけじゃなかった。自分についたほのかな自信が、婚活にも前向きにさせてくれる。なんとなく、もうすぐ努力が実を結ぶんじゃないか、という根拠のない期待もあった。そういう気持ちがなくなってしまうと、きっと婚活疲れに陥って、諦めてしまうことになるんだろう。

 

自宅でPCの画面とにらめっこをしながら、僕は週末の「婚活パーティー」を探し。申し込みボタンを押した。

 

そう、見た目を改善した僕は「婚活パーティー」にも参加をしはじめていたのだ。

 

 

 

努力が実を結ぶ!婚活パーティー攻略!

 

婚活パーティに参加するのは、もう5回目になる。最初の頃を考えると、ずいぶん慣れてきた。

 

婚活パーティと言っても、そのシステムは様々だ。最近の流行りは、「趣味コン」と言われるようなもので、フットサルをしながら、料理教室で授業を受けながら、バスツアーに参加しておいしいものでも食べながら、と、共通の趣味を楽しみながら参加者同士が交際できそうな異性を探す、というものだ。

だが、今回、僕が参加したのは、昔からある割とオーソドックスなスタイルの婚活パーティーだった。

 

最初に女性が車座になって座り、男性が外側の椅子を回転ずしのようにぐるぐる移動しながら、3分ほどの時間、全員と話す。全員と話し終わると、立食パーティ形式のフリータイムに。最初のトークで第一印象のよかった女性と話したり、他にも気になる人がいれば話しかけたりして、最終的には一人の女性に交際希望を出すことになる。もし、相手からも交際希望がもらえていれば、晴れて交際開始になる。

今まで参加したパーティでは残念ながら交際には至らなかったものの、スタッフの人から、複数の女性が僕を指名していた、という話を聞いた。

見向きもされていないわけじゃないと思うと、参加していればいずれは交際にまでたどり着けるのではないか、という希望が湧いた。

 

 

「柴太郎さんは、趣味とかなにかあるんですか?」

 

「趣味って言うほどかはわからないけど、音楽を聴いたりするのは好きで」

 

フリータイムの間、僕は会場の片隅で、一人の女の子と話し込んでいた。「つばさちゃん」という名前の子で、年齢は僕より二つ下。背が高くて大人っぽい雰囲気で一見とっつきづらい感じがするものの、しゃべってみると気さくで話しやすい子だった。
去年までの僕だったら、腰が引けて話しかけることなんかできなかったかもしれない。

でも、最初の自己紹介で印象に残っていたこともあって、僕は勇気をもって話しかけたのだ。結果、ほぼ二人きりで話すことに成功した。ずっと一緒にいれば、他の参加者は「あそこに割って入るのは難しい」と考えて、ライバルが減る。カップル成立に大きく近づくことになる。

 

「あの、僕さ」

 

「うん?」

 

「今日、つばさちゃんに交際希望を出そうと思うんだけど」

 

「え、ほんとに?」

 

「迷惑じゃなければ」

つばさちゃんは笑いながら、全然迷惑じゃないよ、と僕の二の腕をつついた。

果たして、フリータイム後の結果集計。

 

僕のところには、見事につばさちゃんから交際希望が届いていた。もちろん、僕も交際希望を出していた。

スタッフの人から、おめでとうございます、と声をかけられて、少し誇らしい気持ちになる。

別室で待っていたつばさちゃんと対面する。これからよろしくお願いします、と頭を下げると、つばさちゃんは「型っ苦しいよ」と笑いながら、僕の二の腕をまたつついた。

 

 

ついに交際開始!でも、彼女のことは何も知らない

婚活パーティでつばさちゃんとの交際が始まってからの2ヶ月は、ふわふわとした幸せに包まれながら過ぎていった。

 

週末に映画を観に行ったり、ご飯を食べたり。レンタカーを借りてちょっと遠出をしてみたり、ファミレスで数時間もとりとめのない話をしてみたり。久しぶりに彼女ができた、という実感がじわじわと湧いてくる。夏には花火大会、冬にはスノボにでも行けたらいいな、と、季節を感じるようにもなった。

 

とはいえ、僕もつばさちゃんも、婚活を通して出会ったのだ。彼女ができた、と浮かれるのはいいが、その先に結婚があるんだということを忘れてはいけない。

 

いよいよかな、と、僕は結婚の話を切り出すことにした。まだまだ、お互い知らないことはたくさんある。これまでの人生をたった2ヶ月で語りつくすことなんかできないし、将来を共にできる相手なのか、十分に見極めるのも難しいかもしれない。それでも、同じ方向を向いて歩いて行っている、という確信が持てれば、お互い結婚というゴールが見えてくるような気がしたのだ。

 

いつものようにデートをした帰り道、僕はつばさちゃんに向かって「結婚も視野に入れて、今後付き合いたい」と伝えた。

喜んでくれるとは言わないまでも、言葉を受け止めてくれると思っていたのに、見る間につばさちゃんの表情が曇っていくのがわかった。つばさちゃんはしばらく押し黙った後、ゆっくりとため息をつきながら、ごめんなさい、と頭を下げた。

 

「ごめんなさい、って、どういう」

 

「柴太郎君は、すごいいい人だと思う。付き合ってみてすごい楽しかったし、優しくしてくれたし」

 

「じゃあ、どうして」

 

「でも、私、やっぱりダメみたいで」

 

つばさちゃんの目から、涙がぽろぽろと零れた。

そこから僕が聞いた話は、なんとも飲み込みづらいものだった。

婚活パーティに参加するまで、つばさちゃんにはなんと8年も付き合った彼氏がいたのだという。彼氏は起業家で、付き合っている最中は借金だらけの生活だったので結婚なんて考えられなかった。つばさちゃんは献身的に彼を支えたものの、いつ結婚にたどり着くかわからない付き合いにすり減ってしまって、別れを決断したそうだ。

 

彼氏と別れたつばさちゃんは、初めて参加した婚活パーティで僕と出会った。

その時は、庶民的ではあるものの、派手さのない僕みたいなタイプと結婚した方が幸せになれるんじゃないか、と思ったそうだ。でも、僕との交際が始まってすぐ、元彼から連絡がきたらしい。事業が軌道に乗ったから、よりを戻して結婚したい、という話だった。

つばさちゃんは葛藤したけれど、結局、交際8年間の重みに僕は勝てなかった。

 

婚活パーティで気が合ったとはいえ、僕とつばさちゃんはまだまだ他人の域を出ない。付き合いのリズムも違うし、ものの価値観も違う。完全に心を開くほどの信頼関係は築けていなかったのだ。

もし、つばさちゃんの元彼が連絡なんかしてこないで、このまま僕との交際が続いていたら、いずれは結婚までたどり着けたかもしれない。でも、少なくとも、婚活パーティを通して交際がスタートしたばかりの今は、二人の関係性はものすごく希薄なのだ。

これまでの婚活での出会い全般に言えることだけれど、付き合いに至るまでの道のりが短縮されている分、交際がスタートしても関係性の希薄さを埋めていくのには時間がかかる。

 

ごめんなさい。つばさちゃんはもう一度頭を下げて、僕のもとを去って行った。

サヨナラは言わなかったけれど、ああ、これで付き合いは終わっちゃったんだな、と言うことくらいはわかった。

 

近づいては、また離れていく。

ゴールが遠い。

努力しても、僕には無理なのかな。そう思うと、全身から力が抜けていくような感じがした。<最終話につづく

 

 

 

 

 

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