50歳の時点で一度も結婚したことがない「生涯未婚率」が近年上昇し、男性で約4人に1人、女性で約7人に1人が生涯未婚になっています。
もちろん結婚したいけどなかなか自分の理想の相手の出会えず、また出会ったとし結婚までたどり着くことができない、という人もいるでしょう。
そしてもうひとつ結婚していない理由で大きいのが「あえて結婚しない」です。
昭和の時代は男性が外で働き給料を稼ぎ、その為に女性が家庭を守るというスタイルが一般的で、結婚生活は性別で役割分担がされておりました。
男性が家事に追われず安心して外で安心いて給料を稼ぐためには女性のサポートが必要な時代だったのです。
ところが昨今、ライフスタイルは大きく様変わりし、仕事で遅くなっても外で安く食べられるチェーン店やコンビニエンスストアで弁当・惣菜を購入することで、男性は主婦がいなくても食事に困らなくなりました。
また便利な家電も増え洗濯も乾燥まで全自動、掃除も格段に楽に。更にはamazon・楽天などのネット通販サイトを利用することで生活必需品も翌日には届けてくれるので、昼間に主婦が買い物をして生活必需品を揃える必要もなくなりました。
このように生活スタイルの変化とともに一見男性は結婚する必要性がなくなり「あえて結婚しない人生」を選択する人が増えております。
しかしその一見楽なライフスタイルを選ぶことで、未婚男性は早死するリスクが高まり幸福度が下がる、というデータがあるのです。
今回は未婚独身と早死にの関係性についてご紹介していきます。
参考「生涯未婚率」急上昇!婚活専門家が提唱する更に深刻な3つのこと
独身男性の早死にリスクは2.2倍
統計学者の本川裕氏が厚生労働省の人口動態統計を元に未婚者と既婚者の死亡率を算出したところ、45歳~65歳の未婚男性は同世代の既婚男性の2.2倍になっていたと発表。
この数字は未婚男性が既婚男性に比べて健康状態になんらか問題を抱えやすいのか、を表しております。
心筋梗塞での死亡リスクは既婚男性の3.5倍
順天堂大学の池田愛准教授と大阪大学の磯博康教授は40歳~79歳までの男女約10万人の婚姻と死亡の状態を10年間に渡って追跡調査をしその結果、未婚男性が心筋梗塞で死亡が既婚男性の3.5倍にもなる、と研究結果を発表。
更には心臓発作による死亡が2.2倍、呼吸器感系疾患による死亡は2.4倍、自殺を含む外因死が2.2倍との恐ろしい結果もあったのです。
磯教授は、未婚男性が既婚男性より死亡リスクが高いのは「未婚男性に多い食事を中心とする生活習慣の劣悪さが原因ではないか」と述べています。(参考 週刊東洋経済 2016年5月14日 [雑誌])
- 45歳~65歳の未婚男性は同世代の既婚男性の2.2倍
- 未婚男性が心筋梗塞で死亡が既婚男性の3.5倍
- 未婚男性の心臓発作による死亡が2.2倍、呼吸器感系疾患による死亡は2.4倍、自殺を含む外因死が2.2倍
参考 Marital status and mortality among Japanese men and women: the Japan Collaborative Cohort Study
独身男性の早死には食生活の乱れが原因
英ロンドン大学の研究チームが2016年に発表したデータによると、未婚男性は既婚男性と比べ野菜・果物摂取量が年間7kgも少なく、逆に炭水化物と肉の摂取量は多かったと発表。
2008年の厚生労働省の『国民健康・栄養調査』によると単身者世帯が中食(弁当・惣菜をスーパー・コンビニで購入し自宅・オフィスで食べること)の割合が2人以上世帯の2倍になるとの結果もあった。
- 未婚男性は既婚男性と比べ野菜・果物摂取量が年間7kg
- 未婚男性はコンビニ弁当・スーパーの惣菜を食べる割合が2人以上世帯の2倍
- 未婚男性は炭水化物・肉の摂取量が多い
これらの結果を見ると未婚男性・単身者の食生活の乱れが、既婚男性より高い死亡率につながっているのではないかと考えられるています。
独身男性が長年コンビニ・スーパーで売っているような健康的とは言えない弁当や肉中心惣菜、またカップラーメンやお菓子を長年に渡って摂取し続ければ生活習慣病にかかり早死するのは容易に想像ができます。
- 独身男性はコンビニ弁当・カップラーメンなどを食べるため生活習慣リスクが高い
メンタルも弱い独身男性
また未婚男性の場合はメンタルにも問題を抱えやすいのです。
『第6回世界価値観調査』という調査での結果についてNewsweek(ニューズウィーク日本語版)が「世界の主要国で、30~50代の中高年男女の不幸感がどう違うか既婚者と未婚者で比較」してみたところ興味深い内容がでています。
- 『第6回世界価値観調査』(「ニューズウィーク日本版」より出典)
参考未婚男性の「不幸」感が突出して高い日本社会『Newsweek日本版』
この結果によると、日本の未婚男性は『不幸と感じている(「まったく幸福ではない」+「あまり幸福でない」)』と答えた割合が43.5%と群を抜いて高かったのです。
それに対して既婚男性が不幸と感じているのはわずかに8%程度でした。
- 未婚男性の43.5%が「幸福ではない」と回答
- 既婚男性で「幸福ではない」と回答したのはわずか8%
世間では「結婚は人生墓場」だとか「男性は結婚すると生涯不良債権を背負うことになる」など結婚生活をたとえられることがありますが、未婚男性の不幸感の方が、既婚男性より圧倒的に高いのです。
そもそも職場や世間で既婚男性が「うちのカミさんが…」「うちの子供が…」と愚痴を言っているのは大半がノロケ・家族自慢なんです。未婚独身男性はそれを真に受けて「結婚=不幸」と思う人が多いのですが、前述のデータのように既婚男性の92%が「不幸ではない」と回答しているのです。
未婚独身男性は自殺率も高いというデータも
さらに未婚独身男性は自殺率も高いというデータもあります。
自殺予防総合対策センターの統計では、未婚者の自殺率は既婚者と比べ45~55歳で2.1倍、55~64歳で2.4倍にも跳ね上がります。
- 未婚者の自殺率は既婚者と比べ45~55歳で2.1倍、55~64歳で2.4倍
未婚男性はメンタルも弱まり不幸感を強く感じ結果として自殺率も高くなっています。
尚、自殺の予防に最も効果的なのは何らかコミュニティ・集団に属することが重要と言われております。仕事以外にも自分が気軽に属することができるコミュニティを見つけましょう。
独身女性は幸福度・死亡リスクに差がない
これまで主に未婚男性の死亡リスク・不幸感についてご紹介してきましたが、意外にも未婚独身女性は既婚女性と比べて幸福度・死亡リスクともに大きな差がありません。
その理由はいくつかありますが、女性は未婚・既婚で生活習慣・食生活に差がないのでは、とも考えられいます。
また女性はさまざまなコミュニティ・仲間・習い事に参加する人が多いため孤独になりにくく自殺予防にもつながっているのではないかと言われております。
さらに女性は離婚したほうが自殺率が低下する、というデータもあります。
- 『ニューズウィーク日本版』より出典
これは戦後から2014年までの離婚率と自殺率の推移を相関関係図で表したグラフですが男女でかなりグラフの形が異なります。
男性は離婚率が高い年ほど自殺率が高まりますが、女性は反対に全体的に下がります。
男性が離婚した年に自殺率が高いのは、「支える目的や情緒安定の場の喪失」が原因でメンタルが弱まり自殺が増えているのではないかと考えられ、それに対して女性は、離婚することで家族・家庭の束縛から解放されるという点で離婚は自殺の抑止因になっているのでは、と述べられております。
未婚女性は「売れ残り」と批判的に言われ、男性の場合は「独身貴族」と言われることもありますが、実は未婚であることで不幸のなのは女性より男性の方なのである。
- 未婚独身女性は幸福度・死亡リスクに差がない
- 男性は離婚すると自殺率が上がるが・女性は下がる
未婚独身男性は強がっていても不幸になる!
- 結婚しない未婚男性は不幸になる確率が既婚男性より高い
「あえて結婚しない人生を選ぶ」男性が近年増えていますが、データ上は結婚しない未婚独身男性は不幸になる確率が既婚男性より高いのは明らかです。さらには死亡リスクも高まるという結果も。
「結婚したくても事情によりできない」のなら仕方ありませんが、結婚できる環境にいるにもかかわらず「あえて結婚しない人生を選ぶ」のは「あえて不幸になる確率の高い人生を選ぶ」ということなのです。
結婚することがわずらわしい・結婚自体が不幸になるのでは、という誤った情報で「あえて結婚しない人生を選ぶ」のではなく、「幸せな結婚生活を送れるような人生を選ぶ」ほうが幸福度高い人生がまっていますよ。